Solisteソリストおとな女子ヨーロッパひとり歩き Solisteソリストおとな女子ヨーロッパひとり旅

Solisteソリストおとな女子ヨーロッパひとり歩き Solisteソリストおとな女子ヨーロッパひとり旅の詳細

旅の思い出が、まるでポケットにしのばせた宝石のように、密やかなきらめきとして、落ち込んだ気持ちをなぐさめてくれるときがあると、著者は言う。きっと、そんな、いつまでもこころに残る情景が、日々の生活を豊かにする。見知らぬ土地に、ひとりで立つことの孤独。そうであるがゆえに、人々のさりげない親切に、その都度、気持ちがあたたまり、旅が続いてゆくさまが、ありありと伝わってくる。異文化のうちに、ひとりで出かけてみるという冒険をテイスティな筆致で綴ったファンタスティックな著書！30代半ばから20年以上もヨーロッパひとり歩きを続けてきた著者の旅の手引き書第2弾！前作が中高年の女性がひとりでヨーロッパを旅する際の留意点やプランの立て方、航空券やホテルの予約方法など、旅の支度に重点が置かれていたのに対して、本作では、彼女が実際に訪れたヨーロッパ各地の旅の模様が綴られていて、例えばどのような旅が可能だろうか、と考えるときのヒントを示してくれる。ザルツブルクのカフェで「今夜！」と言って若い女性から渡されたミラベル宮殿での室内楽コンサートの案内に惹かれて訪れ、夢のような時を過ごしたときのこと。ブルゴーニュ地方のワイナリー・テイスティングツアーに参加したところ、試飲の度、必ず感想を求められ、表現に窮し焦りまくったときのこと。謎めいたアルハンブラ宮殿のナイトツアーに参加し、11時ごろ見学を終えて外に出ると、方向を見失ってしまいハラハラしたときのことなど・・・文化の厚みのあるヨーロッパで、街ゆく人々を眺めて過ごしたり、歴史的建造物に圧倒されたり、ひとりの孤独が身にしみたり、人々の親切に助けられたり、思いがけない出会いや出来事にワクワクしたりハラハラしたりと著者の書き記す旅の記録は「驚き」や「発見」に満ちている。旅に出ると毎回「自分の人生がまるで『これから始まる』ように思える」という著者の述懐に触れて、モディアーノの描く、「『人生にどんな確かな基盤も持っていなかった』頃に立ち返らせる目的のない歩行」に通じるものを感じた。