ハーバード・ビジネス・レビュー[ＥＩシリーズ] やっかいな人のマネジメント

ハーバード・ビジネス・レビュー[ＥＩシリーズ] やっかいな人のマネジメントの詳細

序章で入山章栄さんは、「人間にしかできないソフトスキル」を磨くことがAI時代には不可欠で、感情のコントロールよりも認知を変えることを薦めています。本章の論文では、その手法や考え方として、・相手を尊重すること（相手の立場になって考えること）・言動と人格を区別すること・問題を解決する人になること・自分の人付き合いの仕方への意識を高めることなどが提唱されています。確かにそのとおりで反論の余地はありません。誰しも自分は正しく相手が悪いと考えがちですので、まずは状況を客観視して、変えることが難しい相手を変えるのではなく、自分の認知と行動を変えようというのは正論だと思います。ただし、第4章エイミー・ギャロさんの論文にあるように、「理想的にはシニアリーダーが有害な人物をただちに排除することが望ましいが、そのようなことは滅多にない。そうであれば、自らが退職することだ」と書かれています。今、パラダイムシフトが起こっているのであれば、成功体験を持ち、それに固執する上司や同僚の価値観を変えることはほとんど不可能です。タイトルは『やっかいな人のマネジメント』ですが、もはやマネジできる限界を超えていることが多く、そのような組織からはできる限り早く退場し、健全な組織に移るしか方法はないように思います。個々人がそのような行動を取ることで、社会全体でやっかいな人が、少なくともリーダーとしては生きられない時代にしていくことが本質であり、実は近道であると本書を読んで感じました。