アナトリア発掘記 ~カマン・カレホユック遺跡の二十年 (NHKブックス)

アナトリア発掘記 ~カマン・カレホユック遺跡の二十年 (NHKブックス)の詳細

古代ヒッタイト帝国の都ハットゥシャを発見したヴィンクラーに憧れた少年。念願かなってトルコに給費留学も、楔形文字の解読作業で悪戦苦闘する日々。自費滞在に切り替た後、ヒッタイトでの製鉄の痕跡を追い求めること10年。家賃や食費を心配する生活な上に、他人の現場を駆けずり回る研究の限界。全てが行き詰りつつあった1982年、不安と焦燥感にかられる著者に転機が訪れる。中近東文化センターの総裁・三笠宮親王から発掘プロジェクトを託されたのだ。そして三笠宮親王の旧来の友人、トルコ考古学会の長老オズギュッチ教授の下に入る。だが喜び勇んで鉄に関連しそうな場所の発掘調査を打診し、氏に一喝されることになる。考古学とは数千年間積み重なった地層を、順に記録し「文化編年」を作る作業なのだと。そしてカマン・カレホユック遺跡の発掘に入り、丁寧に文化編年を作り続けること20年。ド派手なニュースはなくとも、本遺跡で確かな成果と足跡を残し続ける著者の姿があった。本書出版以降の後日譚、著者は今や遺跡脇に完成した研究施設と博物館の責任者に。トルコ各地の学芸員研修を任されたり、賑わいを見せる博物館で公演したりと活躍中だ。